コンサルタントコラム

【人事管理】テレワーク規程を策定するとき

緊急事態宣言が全国で解除されました。これまでの約1か月半、外出自粛要請に応じるために、テレワークや時差出勤を実施されていた企業は、今後どのような環境で勤務をしてもらうか検討をされていると思います。

「テレワークを今後も続けたいか」と、働く人に聞いたところ、6割強が続けたいと回答した調査があります。(日本生産性本部 働く人の意識調査 1,100人インターネット調査 5月11日~13日 ウイルス収束後もテレワークを継続したいかについては、「そう思う」24.3%、「どちらかと言えばそう思う」38.4%と、6割強が肯定的と回答)
https://www.jpc-net.jp/research/detail/004392.html

 

1. テレワーク規程の整備
新型コロナ感染予防で初めて緊急対応的にテレワークを始めた会社も多いと思います。やってみて、メリットを感じた企業もあるでしょう。今後も制度を続けていくときや、助成金申請のために急いで作成したままになっているときなどは、そろそろ実態に合ったテレワーク規程を整備することが必要です。

例えば、月に4日程度のテレワークを続けて、今後の感染症予防や、いつ起きるかもしれない天災時にスムーズにテレワークに入れるように備えることは、事業継続の体制として有効な対策になると思います。

もしくは、社員の希望をインタビューしたり、テレワーク中の生産性を検証したりした結果、テレワークが適している職種が見つかって積極的に継続する会社もあると思います。

 

2. テレワークの対象者と目的
テレワークに関する項目のうち、労働基準法等に照らして、就業規則や労働条件通知書に記載が必要な事項については、前々回のコラムで紹介しました。
では、労基法等の求める項目以外に重要な定めとしては、どのようなものかを見ていきます。一つは、テレワークの対象者を誰にするかです。これはテレワークの導入目的を何にするかを決めていくと、おのずとテレワークの適用者が決まってくると思います。

そこで、5年前くらいに策定したテレワーク規程の制度導入の目的条項を見ていると、「育児や介護と仕事を両立することを目的としてテレワークを導入する」と規定している例が少なくありません。

この約1か月半でテレワークを行っていた会社では、育児介護と仕事の両立によらず、例えば、社員の通勤の負担の軽減や、顔を合わせないで行う共同作業のほうが実は良いものができた等効果があれば、仕事の進め方のベターな手法として取り入れることも考えられます。例えばこんな規定になります。

【規定例】
(目 的)
第1条 この規程は、株式会社〇〇〇〇〇(以下「会社」という。)の社員であって、テレワーク勤務(在宅勤務、〇〇勤務、〇〇勤務*)をする者の労働条件その他の就業に関する事項を定めるものである。

*状況に応じて、在宅に限らないモバイル勤務、サテライトオフィス勤務を加える

  テレワーク制度は、会社が指定するセキュリティシステム等の情報ネットワークサービスおよびリモートアクセス方式により、多様なワークスタイルを実現しライフサイクルに合わせた仕事と家庭の両立を実行することにより、社員の就業意欲と会社の効率的な労働環境を構築するものである。

 

3. テレワークの回数
回数については、大きく分けて、働き方として会社がテレワークを指示するのか、又は希望者を募るのかによって違ってくると思います。

職種や部署の全員に対してテレワークを指示するのか(勤務場所を変更するための合意が必要です)、職種等や一定の範囲を決めたうえで希望者に対して認めるのか、テレワーク環境整備条件や社内勤務実績や能力等の一定の規準を満たした場合に許可する申請と許可制にするのか、検討が必要です。

次に週に何回のテレワークを基本とするのかを決めます。これは、テレワーク中に週に1度の出社を指示したいときその根拠が示せないと、出社を拒む社員が出てくることが懸念され、出社指示の根拠を定めておく必要があるからです。
出社を拒否されたら、誠実義務に反すると問題にするよりも、規程に定めて事前に同意しておくことが良いと思います。

 

4. 第二波、第三波の緊急事態宣言等対応として
テレワークを一定の職種や希望者限定的に行う場合でも今回のような政府の要請等を受けて会社がテレワーク実施を指示することが想定されます。そこで、最後に感染予防や天災時の対応としてテレワークを指示することを入れておくと良いと思います。
【規定例】
(事業継続緊急テレワーク)
第15条 1条から14条に関わらず会社は、天災その他の理由によって事業継続を目的としてテレワークを実施する必要があると判断したときは、この規程に準じたテレワークを社員に指示する。なお、この指示を受けた社員は正当な理由がない限りこの指示に従わなければならない。

厚生労働省・受託団体:一社)日本テレワーク協会「テレワークモデル就業規則 作成の手引き」の詳細は、以下のページでご確認ください
https://www.tw-sodan.jp/dl_pdf/16.pdf

 

 

【コンサルタントプロフィール】

写真_大関ひろ美


大関ひろ美
株式会社ブレインパートナー 顧問
三重県四日市市出身。

ワンズライフコンパス(株)代表取締役、ワンズ・オフィス社労士事務所 代表。1981年~ 三菱油化(現、三菱ケミカル)株式会社の人事部門に約9年間勤務。1992年社会保険労務士資格を取得(その後特定社会保険労務士を付記)。 1996年~ 外資系生命保険会社ほか勤務、北九州市嘱託職員として介護保険導入に携わる。2001年~ 社会保険労務士事務所を開所独立。
現在は、ワンズライフコンパス株式会社と併設するワンズ・オフィス社労士事務所の代表に就任。2006年パートアルバイト派遣の使い方ここが間違いです(かんき出版) 2013年~雇用形態別人事労務の手続と書式・文例、雇用形態別人事管理アドバイス(共著、新日本法規出版)

 

DATE : 2020/05/28

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