【人材育成】組織内キャリアマネジメント(1)
ここ数年、キャリアという言葉の概念が変化しつつあります。
また、組織でのキャリアマネジメントの捉え方も進化してきました。組織内で行うキャリアマネジメントについて考えてみましょう。
■キャリアとは
厚生労働省では 「キャリアとは、一般に経歴、経験、発展、さらには関連した職務の連鎖等と表現され、時間的持続性ないしは継続性を持った概念。 キャリアを積んだ結果として、職業能力が蓄積されていくもの」と説明しています。
文部科学省でもキャリア教育の手引書の中で、 「キャリアとは、人が、生涯の中で様々な役割を果たす過程で、自らの役割の価値や自分と役割との関係を見いだしていく連なりや積み重ね」としています。
厚生労働省では社会にでた労働者を対象としているので、職業能力の蓄積にフォーカスが当たっていますが、 文部科学省では、こどもや学生が対象となりますので成長過程での様々な経験にフォーカスを当てた表現になっています。
私たち一人ひとりは、人生の過程の中で様々な役割や立場を体験します。 これらの体験の総体が職業や生き方と結びつくという観点がキャリアの意味するところです。
企業(組織)の社員育成への積極的な姿勢は、 かつては他社より優位に立つことが出来る“動機付け要因”として機能し、 より優秀な社員の確保に効果を発揮していました。 しかし近年では社員育成プログラムがあるのは当たり前となり、社員育成は“衛生要因”として捉えられ始めています。
強い組織を目指している企業はさらに積極的に「新しいキャリアデベロップメント(キャリア開発)」に取り組んでおり、 キャリアデベロップメントそれ自体を管理するキャリアマネジメントの重要性が高まっています。
■キャリアデベロップメントとは
言葉の定義を明確にしておきましょう。
「キャリアデベロップメント(キャリア開発)」という言葉は、社員(個人)と組織など、使う人の立場によって意味が異なってくる言葉です。
社員一人ひとりが個人として使う場合、自分自身のキャリア発達やキャリアプランニングの意味が含まれます。
自分がどんな人生を送っていきたいのか、その人生の中で、どんなキャリアを積み上げていきたいのか。
自分の方向性や自分の夢を、自分でちゃんと組み立てて行こうと考え、そのための計画がキャリアプランです。
一方、組織が使う場合のキャリアデベロップメントは、社員一人一人のキャリア発達を促していき、 社員がキャリアを積み上げていく機会提供をしていく事を指します。
かつて、終身雇用や年功序列が一般的であった時代は、個人も会社もその組織の中で通用するキャリアデベロップメントを考えるだけで良かったのですが、今や経済環境も激変しました。 会社も生き残るためにリストラや早期退職を促すなど、社員が組織の外に出ても困らないようにエンプロイアビリティ(雇用されうる能力)を醸成する必要があります。
a)組織が積極的に行うキャリアデベロップメント
b)個人が自分の価値観で自分らしく生きようと描くキャリアプラン
c)これらを統合する組織におけるキャリアマネジメント
組織が必要とするキャリアと、個人が自分の価値観で自分らしく生きようと描くキャリア、この両者を分離させていきながらも、図の赤い部分の調和や融合を計っていく組織におけるキャリアマネジメントが重要となるのです。
組織が必要とするキャリアと個人が望むキャリア。 これらをどの様にマネジメントしていくのか、次回コラムに続きます。
【コンサルタントプロフィール】
DATE : 2016/04/04