【人事管理】ワクチン接種休暇や労働時間
新型コロナワクチン接種は自治体の接種会場では65歳以下等の方々にも範囲を広げて進んでいます。職域接種や、商工会議所でも会員企業に接種を受け付けているようです。
筆者は、自治体の接種会場で8月中頃に第一回目接種予約が取れたところです。
社員が、ワクチン接種に関して就業日に休んだり労働時間の中抜けをしたり、接種後の副反応で1日程度休んだりすることがあります。接種については最終的に個人で判断して受けることになっていますが、安心して接種を受けられるように、労働時間等の取り扱いルールを周知しておくことをお勧めします。
なお企業には、例えば接種日に特別休暇を与えなければならないなどの、義務が課せられているわけではありませんので、企業の実情に合わせて社員の多くが望むようなルールを決めておけばよいことになります。
まず、ワクチン接種の意味付けは、「新型コロナウイルス感染症の基本対処方針」(2021・5・28更新)に「まん延防止」の対策の一つとされています。
休暇と労働時間の扱いや、どのような方針で社員へ接種を勧めるか、接種を希望しない社員へのハラスメント対応を考えるうえで改めて知っておきたいことが書かれていますので紹介します(39ページから40ページを抜粋)。
・予防接種目的は、新型コロナウイルス感染症の発症を予防し、死亡者や重傷者の発生をできる限り減らすことであること。
・予防接種は最終的には個人の判断で接種されるものであること。
・予防接種に当たっては、リスクとベネフィットを総合的に勘案し接種の判断ができる情報を(政府が)提供する必要があり、その上で、政府は国民が自らの意思で接種の判断を行うことができるよう取り組むこと。
今回のワクチン接種は、最終的に個人の判断で受けるかどうかを決めることになっていますが、2回の接種を受ける判断をした社員の接種日と、副反応の可能性を考えて翌日等が就労日であった場合は次のような扱いとすることが考えられます。
そして、対象は本人だけとするか、家族の付き添いまで含めることも可能です。
1.中抜け時間を認めるケース | A:接種時に職場を離れてもよく終業時刻も変えない |
B:接種時に職場を離れてもよいが中抜けの時間分については終業時刻を遅くする | |
2.休暇または中抜け時間を管理するケース | C:欠勤または本人の請求によって有給休暇(1日又は時間単位)で対応 |
D:有給の特別休暇等を付与し給与を払う | |
E:有給休暇の積立制度等の傷病休暇を付与する |
なお、これらの扱いを就業規則に規定するかどうかについては、早急に変更して変更届を提出することは間に合わないことが多いと思いますが、今後も感染症がまん延する可能性もあることから、幅広い応用ができる表現で就業規則に記載することをお勧めします。
関連の情報は厚生労働省のホームページ「新型コロナウイルスに関するQ&A」問20をご覧ください。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q4-20
【コンサルタントプロフィール】
大関ひろ美
(株式会社ブレインパートナー 顧問)
三重県四日市市出身。
ワンズライフコンパス(株)代表取締役、ワンズ・オフィス社労士事務所 代表。1981年~ 三菱油化(現、三菱ケミカル)株式会社の人事部門に約9年間勤務。1992年社会保険労務士資格を取得(その後特定社会保険労務士を付記)。 1996年~ 外資系生命保険会社ほか勤務、北九州市嘱託職員として介護保険導入に携わる。2001年~ 社会保険労務士事務所を開所独立。
現在は、ワンズライフコンパス株式会社と併設するワンズ・オフィス社労士事務所の代表に就任。2006年パートアルバイト派遣の使い方ここが間違いです(かんき出版) 2013年~雇用形態別人事労務の手続と書式・文例、雇用形態別人事管理アドバイス(共著、新日本法規出版)
DATE : 2021/07/19