コンサルタントコラム

【人事管理】令和4年4月から65歳未満の在職老齢厚生年金の停止が緩和

老齢厚生年金に加入している社員が、働きながら老齢厚生年金を受給すると、収入や年金額によっては、老齢厚生年金が支給停止になることがあります。一般に在職老齢年金制度と言われています。

老齢厚生年金は、被保険者であった期間と過去の標準報酬と標準賞与額等で計算した額を被保険者本人が受給するものですから、基本的には会社には影響がないことに思えます。しかし、老齢厚生年金を受給できる社員が、年金を受給できるようになったことで、その後は勤務時間を短くしたり、職務の責任を軽減したりして働くことを希望するケースもあります。

こうしたことから、在職老齢年金制度は、会社が高年齢者の労働条件を検討するにあたって、把握しておきたいことの一つだと思います。

 

令和4年4月から65歳未満の在職老齢厚生年金制度の支給停止が緩和され、年金を多く受け取れるようになる人がいます。
令和4年3月までは、65歳未満の社員の在職老齢年金制度は、総報酬⽉額相当額と特別支給の⽼齢厚⽣年⾦の基本⽉額の合計が「28万円」を超えない場合は年金額の支給停止は行われせん。しかし合計が、「28万円」を上回る場合は年金額の全部または一部について支給停止されていました。

この在職老齢年金制度が見直され、令和4年4月以降は、65歳以上の人と同じように、総報酬月額相当額と特別支給の⽼齢厚⽣年⾦の基本月額の合計が「47万円」を超えない場合は年金額の支給停止は行われず、「47万円」を上回った場合のみ、年金額の全部または一部について支給停止される計算方法に緩和されます。

具体的には令和4年4月以降に特別支給の老齢厚生年金の受給が始まる人が対象になります。

支給停止になるかどうか計算するにあたっては、年金額(基本月額)については、特別支給の老齢厚生年金(退職共済)から加給年金額を引いた年金の月額を算入します。なお、なぜ「特別支給」という言葉が頭につくかというと、老齢厚生年金は65歳になって受給できますが、支給開始年齢が65歳になった時の措置で一定の人が65歳未満に受給できるものがあって、それを特別支給の老齢厚生年金と呼んでいます。

また、総報酬月額相当額とは、いわゆる給与の月額を連想するかもしれませんが、その月の標準報酬月額とその月以前1年間の標準賞与額の12分の1を足したものになりますので、注意が必要です。


関連する情報は日本年金機構のページでご確認ください。
60歳から65歳の在職老齢厚生年金の詳細について
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/zaishoku/20150401-02.html
特別支給の老齢厚生年金の開始年齢について
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/20140421-02.html

 

 

【コンサルタントプロフィール】

写真_大関ひろ美


大関ひろ美
株式会社ブレインパートナー 顧問
三重県四日市市出身。

ワンズライフコンパス(株)代表取締役、ワンズ・オフィス社労士事務所 代表。1981年~ 三菱油化(現、三菱ケミカル)株式会社の人事部門に約9年間勤務。1992年社会保険労務士資格を取得(その後特定社会保険労務士を付記)。 1996年~ 外資系生命保険会社ほか勤務、北九州市嘱託職員として介護保険導入に携わる。2001年~ 社会保険労務士事務所を開所独立。
現在は、ワンズライフコンパス株式会社と併設するワンズ・オフィス社労士事務所の代表に就任。2006年パートアルバイト派遣の使い方ここが間違いです(かんき出版) 2013年~雇用形態別人事労務の手続と書式・文例、雇用形態別人事管理アドバイス(共著、新日本法規出版)

 

DATE : 2022/03/15

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