【人事管理】事業主が知っておきたい公金受取口座とは
1. 社員が公金受取口座を利用して受け取れる給付金
金融機関の預金口座を給付金等の受け取りの為の口座として国(デジタル庁)に登録する制度、通称「公金受取口座登録制度」が始まっており、任意ですが登録をするとマイナポイントが受け取れることでも知られています。
会社の事業主等が関与している社員の給付金についても、この「公金受取口座登録制度」が利用できるものがあります。
デジタル庁のホームページによると、2022年10月1日から運用としている給付金から事業主が関与するものを抜粋すると、次のとおりです。
・育児休業給付金(公共職業安定所から支給)
・健康保険法に基づく傷病手当金等の給付金(健康保険組合から支給)
・労災補償関係の各種年金・一時金(厚生労働省から支給)
このように、会社等を通じて支給申請するものにも関係する公金受取口座制度は徐々に本格的運用開始がされる見込みがある為、制度を把握しておきたいものです。
2. 公金受取口座の活用例
本格的に制度が運用されると、給付金の申請書の振込先銀行口座の指定欄は、文末のようなイメージになり、国民がマイナポータルなどからあらかじめ公金受取口座の登録を済ませている場合は、 ●公金受取口座を利用する を選択することで、銀行名等の口座情報を記載する必要がなくなるようになります。
前述した事業主を経由して申請する育児休業給付金等の申請書の払渡希望金融機関指定届の欄は、現在のところは、口座情報を記載する方法になっています。
今後、書式が変わる時期は不確定ですが、公金受取口座制度を利用することができるようになって、社員が公金受取口座を選択するケースが想定できます。そうすると事業主は、社員が登録している公金受取口座が、受け取り可能な状態にある(解約をしていない)ことを念のために聞き取ったうえで、公共職業安定所等に申請することが必要になってきますので、注意が必要です。
(参考)市役所から給付金を受取るときの公金受取口座の活用例イメージ(デジタル庁ホームページ引用)
https://www.digital.go.jp/policies/account_registration/
【コンサルタントプロフィール】
大関ひろ美
(株式会社ブレインパートナー 顧問)
三重県四日市市出身。
ワンズライフコンパス(株)代表取締役、ワンズ・オフィス社労士事務所 代表。1981年~ 三菱油化(現、三菱ケミカル)株式会社の人事部門に約9年間勤務。1992年社会保険労務士資格を取得(その後特定社会保険労務士を付記)。 1996年~ 外資系生命保険会社ほか勤務、北九州市嘱託職員として介護保険導入に携わる。2001年~ 社会保険労務士事務所を開所独立。
現在は、ワンズライフコンパス株式会社と併設するワンズ・オフィス社労士事務所の代表に就任。2006年パートアルバイト派遣の使い方ここが間違いです(かんき出版) 2013年~雇用形態別人事労務の手続と書式・文例、雇用形態別人事管理アドバイス(共著、新日本法規出版)
DATE : 2022/11/28