【人事管理】病気休暇制度を検討するとき
1.病気療養のための休暇の必要性
新型コロナ感染症などの病気の影響で療養が必要になった時、年次有給休暇とは別に取得できる休暇制度を作っておくことは、社員が安心して働ける環境づくりの一環になります。
多様で柔軟な働き方として、休み方も選択できる社会を政府は進めてきてきました。休み方の中には、社員自身やその家族が病気になった時や、社員ががん治療と両立しながら仕事を続けるときや、病気療養後職場復帰したあとの通院など病気休暇のニーズが幅広くあります。
例えば、子育て世代の社員は、子供の病気の時に休むことを想定して年次有給休暇を残しておきたいと考えているようですし、がん治療で長期にわたって時間単位で休む必要がある社員は、年次有給休暇だけでは足りないこともあります。
年次有給休暇とは別の病気休暇制度を用意することは、法定で義務付けられているものではありませんので、社員のニーズにあわせて柔軟な設計をすることが可能です。賃金については、通常の賃金を支払う制度と無給にする制度の両方がありえます。
2.病気休暇の導入状況
厚生労働省の調査によると、病気休暇制度の導入企業は23.8%で、そのうち全額賃金を支払うのが44.5%です。一方で病気休暇制度があってほしいと思う労働者は60.8%でした。
図は厚生労働省リーフレットから抜粋
3.病気休暇制度等の導入事例
導入が考えられる形態は、年次有給休暇とは別に利用できる病気休暇制度以外にも、年次有給休暇の時間単位や半日単位取得制度・短時間勤務制度・失効した年休積立制度などもあります。
働き方・休み方改善ポータルサイトには、企業の導入事例が掲載されています。申請方法やネーミングなどを実際に利用しやすいように工夫がされているものや、見直しをしながら良い制度に変更しながら運用している様子が読み取れ、参考になる事例が多数ありますので、導入を検討する時には、厚生労働省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」でご確認ください
https://work-holiday.mhlw.go.jp/kyuukaseido/recuperation.html
【コンサルタントプロフィール】
大関ひろ美
(株式会社ブレインパートナー 顧問)
三重県四日市市出身。
ワンズライフコンパス(株)代表取締役、ワンズ・オフィス社労士事務所 代表。1981年~ 三菱油化(現、三菱ケミカル)株式会社の人事部門に約9年間勤務。1992年社会保険労務士資格を取得(その後特定社会保険労務士を付記)。 1996年~ 外資系生命保険会社ほか勤務、北九州市嘱託職員として介護保険導入に携わる。2001年~ 社会保険労務士事務所を開所独立。
現在は、ワンズライフコンパス株式会社と併設するワンズ・オフィス社労士事務所の代表に就任。2006年パートアルバイト派遣の使い方ここが間違いです(かんき出版) 2013年~雇用形態別人事労務の手続と書式・文例、雇用形態別人事管理アドバイス(共著、新日本法規出版)
DATE : 2023/01/19