【人事管理】最低賃金について
1.令和5年度最低賃金の動向
最低賃金については、「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)において、 「年率3%程度を目途として、名目GDP成長率にも配慮しつつ引き上げていく。これにより、全国加重平均が1,000円になることを目指す。とされ、継続して引き上げが行われてきました。
今年度令和5年度の全国の最低賃金目標は平均時給1,002円です。伸び率は4.3%で1991年以降最大になります。各都道府県の引上げ額の目安については、Aランク41円、Bランク40円、Cランク39円です。
(参考)各都道府県に適用される目安のランク
現在は、各都道府県の最低賃金審議会が、地域別最低賃金額を労働局長に答申を行っており、8月15日時点では21県が目安額に上乗せした額を設定しています。8月末頃までに改定後の金額が決まってくる予定です。
2.東京都・大阪府は41円アップ
都道府県ごとに答申を出して決定を待っているところですが、アップ額Aランクは目安額が41円ですが、Aランクの埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪のうち41円よりも高い答申を出したのは千葉のみで、そのまま通ると42円アップの1,026円になります。
関東近郊の答申金額は次のとおりです。
3.最低賃金のチェック
最低賃金の時間額は、時間給制の労働者、月給制等の労働者、パートタイマー、アルバイト、嘱託、正社員などの雇用形態に関係なく適用されます。
この秋に最低賃金が改定された時、現在の賃金が最低賃金を満たしていることを確認しましょう。
1)時間給の場合のチェックは次のように時間給の金額で容易に確認できます。
時間給 ≧ 最低賃金額(時間額)
2)月給の場合は、時間給に割り戻して確認します。
一箇月の賃金÷1カ月平均労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
ただし、月給で支給するとき最低賃金の計算に入れないものもあります。
最低賃金の対象となるのは、毎月支払われる基本的な賃金で、残業や賞与などは対象になりませんので、注意が必要です。
【最低賃金の対象にならない賃金】
(1) 臨時に支払われる賃金(結婚手当等)
(2) 1か月を超える期間ごとに払われる賃金(賞与等)
(3) 所定労働時間を超える労働に支払われる時間外割増賃金等
(4) 所定労働日以外の労働に支払われる休業割増賃金等
(5) 深夜業割増賃金等
(6) 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
厚生労働省プレスリリース「令和5年度地域別最低賃金改定の目安について」で関連情報が確認できます。
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001126554.pdf
【コンサルタントプロフィール】
大関ひろ美
(株式会社ブレインパートナー 顧問)
三重県四日市市出身。
ワンズライフコンパス(株)代表取締役、ワンズ・オフィス社労士事務所 代表。1981年~ 三菱油化(現、三菱ケミカル)株式会社の人事部門に約9年間勤務。1992年社会保険労務士資格を取得(その後特定社会保険労務士を付記)。 1996年~ 外資系生命保険会社ほか勤務、北九州市嘱託職員として介護保険導入に携わる。2001年~ 社会保険労務士事務所を開所独立。
現在は、ワンズライフコンパス株式会社と併設するワンズ・オフィス社労士事務所の代表に就任。2006年パートアルバイト派遣の使い方ここが間違いです(かんき出版) 2013年~雇用形態別人事労務の手続と書式・文例、雇用形態別人事管理アドバイス(共著、新日本法規出版)
DATE : 2023/08/18