【人事管理】有給休暇管理簿を作成していますか
先日、筆者の関与先の社員さんから、「私の有給休暇はそれぞれ何日残っているかわかりますが?」と問い合わせがありました。その企業では、有給休暇の付与状況を把握するために、きちんと管理簿を作っていますが、社員に知らせていなかったようです。
2019年4月1日にすべての企業等において、年間10日以上の年次有給休暇を保有している社員には、年次有給休暇のうち年間5日以上を取得させることが義務付けけられました(労働基準法39条7項)。違反すると1人につき30万円以下の罰金が使用者に課せられます(労働基準法120条1項)。
その改正と同時に、使用者は、年次有給休暇を与えたときは、いつ与えたか、与えた日数および付与した基準日を労働者ごとに管理簿を作成して、当該期間終了後5年間保管しなければならないことになっています(労働基準法施行規則24条の7ほか)。
ただし、管理簿の保管については、当面の間は3年間保管することになっており、労働者名簿又は賃金台帳と合わせて作成することも可能とされています。
これは、改正民法と同時に労働基準法が改正になって、賃金請求権の消滅時効期間も延長されて原則5年になりましたが、当面の賃金請求権の消滅時効期間は3年とされているためです。令和2年4月1日以降に支払われた賃金に適用されます。
なお、勤怠システムを導入していると、年次有給休暇管理簿は付属機能のひとつとして備わっているものが多いと思いますので、作成と保管ができているかどうかの確認をお願いします。
さて、作成と3年間の保管が必要な年次有給休暇管理簿をまだ作成していない企業は、厚生労働省が管理簿例を掲載していますので、参考にしてください。
https://jsite.mhlw.go.jp/kanagawa-roudoukyoku/content/contents/000808067.pdf
【コンサルタントプロフィール】
大関ひろ美
(株式会社ブレインパートナー 顧問)
三重県四日市市出身。
ワンズライフコンパス(株)代表取締役、ワンズ・オフィス社労士事務所 代表。1981年~ 三菱油化(現、三菱ケミカル)株式会社の人事部門に約9年間勤務。1992年社会保険労務士資格を取得(その後特定社会保険労務士を付記)。 1996年~ 外資系生命保険会社ほか勤務、北九州市嘱託職員として介護保険導入に携わる。2001年~ 社会保険労務士事務所を開所独立。
現在は、ワンズライフコンパス株式会社と併設するワンズ・オフィス社労士事務所の代表に就任。2006年パートアルバイト派遣の使い方ここが間違いです(かんき出版) 2013年~雇用形態別人事労務の手続と書式・文例、雇用形態別人事管理アドバイス(共著、新日本法規出版)
DATE : 2023/12/22