コンサルタントコラム

【労働時間管理】事業活動に生かす有給休暇

1.有給休暇のルール

労働基準法の年次有給休暇は、労働者からの請求があれば、付与しなければならない日数が定められています(労基法第39)10月は、厚労省が進める「年次有給休暇取得推進期間」です。
有給休暇は、「労働者の健康で文化的な生活の実現に資するために、労働者に対し、休日のほかに毎年一定日数の休暇を有給で保障する制度(*)」です。
有給休暇は、社員が休んでいるにも関わらず賃金を支払うために、経営者の中には、やっかいな制度であると思われる方もおられます。

しかし、こうした制度の趣旨を拡大して、経営者主導のもとに有給休暇の取得を推進し、健康経営に生かすなど、有給休暇取得を推進するメリットも見逃せないのではないでしょうか。
*)引用:労働法 菅野和夫 第11P529 弘文堂

 

2.取得率の低さと理由

日本の有給休暇の取得率は低いと言われており、厚労省が行った調査結果では、全体の約3分の2の労働者が、年次有給休暇を請求することにためらいを感じています。調査では、「みんなに迷惑がかかると感じる」、「後で多忙になる」が上位をしめています。20161003

※資料出所:労働時間等の設定の改善を通じた「仕事と生活の調和」の実現及び特別な休暇制度の普及促進に関する意識調査(平成26年)

 

3.有給休暇の取得を推進するメリット

先ほどの調査のように、社員が有給取得をためらっている職場では、経営者トップが取得させることのメリットを強く意識して、取得しやすい制度運用と組織改革の両面から推し進めなければ、取得率アップは実現しません。

さて、では企業にとってのメリットは何でしょうか。一般的に次のようなことが考えられます。
・心のリフレッシュでストレスを軽減する
・休みに寛容になり職場の雰囲気をよくする
・健康な社員が仕事の成果を出し生産性が向上する
・企業のイメージアップで優秀な人材を確保する
・休みの社員に代って他の社員が仕事を担当することで不正を防止する
・仕事の内容や進捗状況共有をすることは災害時の事業継続につながる

 

4.取得を推進する手段

ではどのように有給休暇取得率を上げられるのでしょうか。その方法のひとつに、労基法で決めている「計画的付与制度」があります。
有給休暇の付与日数のうち、5日を除いた残りの日数については、労使協定を結べば、計画的に年次有給休暇を取得する日を割り振ることができます。

たとえば、ゴールデンウィーク・年末年始・休日と祝日の合間の日などに計画的付与を割り振って連休にすることも考えられます。

また個人的な記念日の誕生日や結婚記念日に有給休暇取得を奨励たり、公休日と有給休暇で毎年○○日以上の連続休日を取ることを推奨するような方法が考えられます。

 

5.仕事の配分と人材配置

社員が効率よく仕事を進めても、仕事の量や責任の問題で休めないことになっていれば、人事部門が人材配置を見直したり、上司が仕事の割り振りを解決しなければなりません。有給休暇を推奨してそのメリットを実現するには、組織運営の見直しも継続していかなければならないと思います。

年次有給休暇取得促進期間の厚労省のリーフレットはこちらです⇒
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kinrou/150609-01.html

【コンサルタントプロフィール】

写真_大関ひろ美 大関ひろ美
株式会社ブレインパートナー 顧問
三重県四日市市出身。

ワンズライフコンパス(株)代表取締役、ワンズ・オフィス社労士事務所 代表。1981年~ 三菱油化(現、三菱化学)株式会社の人事部門に約9年間勤務。1992年社会保険労務士資格を取得(その後特定社会保険労務士を付記)。 1996年~ 外資系生命保険会社ほか勤務、北九州市嘱託職員として介護保険導入に携わる。2001年~ 社会保険労務士事務所を開所独立。
現在は、ワンズライフコンパス株式会社と併設するワンズ・オフィス社労士事務所の代表に就任。2006年パートアルバイト派遣の使い方ここが間違いです(かんき出版) 2013年~雇用形態別人事労務の手続と書式・文例、雇用形態別人事管理アドバイス(共著、新日本法規出版)

 

DATE : 2016/10/03

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