【人事管理】新入社員の調査結果:働くことの意義から
公益財団法人 日本生産性本部等は、毎年、新入社員を対象に行っている「働くことの意義」に関する調査のリリースを公表しました。働く目的をきいたところ、「楽しい生活をしたい」が、過去最高を更新するなど、部下指導を行う際に知っておきたい新人の特徴を紹介したいと思います。
1. 働く目的をどこにおいているか
新入社員がした回答の上位には、働く目的が次のようにあげられました。
1位:楽しい生活をしたい(過去最高値 42.6%)
2位:経済的に豊かになる(上昇傾向 26.7%)
3位:自分の能力をためす(長期にわたって下降傾向 10.9%)
4位:社会のために役立つ(昨年から低下 9.2%)
という結果になったようです。
この回答から働く目的の傾向は、比較的短期間で自身が得られる喜びを得たいと考えている傾向がうかがえます。
ただし、一番多い回答となった「楽しい生活をしたい」ということについては、収入を得ることで楽しい生活ができると思い描くことのみならず、「働くことが楽しくあってほしい。」というニュアンスが含まれていることを期待したいと思っています。
それと同時に、この結果から導かれることの一つは、人事部と上司は、仕事は楽しいと実感できる仕掛け作りが必要ということではないかと思います。
2. あくまでポジティブ
就労意識について 16の質問文をあげ、「そう思う」から「そう思わない」まで4段階で聞いた(Q11)では、
1位:社会や人から感謝される仕事がしたい
2位:仕事を通じて人間関係を広げていきたい
が上位を占めて、ポジティブないし積極的な態度が上位を占めたようです。
また、3位は、ワークライフバランスに積極的に取り組む職場で働きたい。が入っており、社会の流れを強く意識している様子がうかがえます。
3. 部下と上司のコミュニケーションの変革
就労意識の16項目あった回答の中で、昨年度との比較で 2.5 ポイント以上変動があったのは、以下の通りです。(カッコ内は変動ポイント)
・職場の同僚、上司、部下などとは勤務時間以外はつきあいたくない 20.7→30.8 (+10.1)
・職場の上司、同僚が残業していても、自分の仕事が終わったら帰る 38.8→48.7 (+9.9)
・仕事はお金を稼ぐための手段あって、面白いものではない 36.1→39.1 (+3.0)
・高い役職につくために、少々の苦労はしても頑張る 84.6→81.1 (-3.5)
・面白い仕事であれば、収入が少なくても構わない 49.2→46.5 (-2.7)
となっており、もし、上司が「若いころは目先の成果にとらわれず、苦労は自らかって出るべき、、、」というように、合理的な説明がないまま、いわゆる体育会系的な部下指導を行っていると、おそらく新入社員の心には響かないと思われる回答になっています。
部下の育成を行う結論は同じだとしても、どのような働きかけや仕組みつくりをするかという過程はいろいろ選択肢がありますから、まずは部下を知ることが大事だと思います。
公益財団法人 日本生産性本部の「職業のあり方研究会」(座長 岩間夏樹)と一般社団法人 日 本経済青年協議会が、平成 29 年度新入社員 1,882 人を対象にした「働くことの意識」は、昭和 44 年度に実施して以来 49 回目。調査結果の詳細はこちらです。
http://activity.jpc-net.jp/detail/lrw/activity001510/attached.pdf
【コンサルタントプロフィール】
DATE : 2017/07/18