【人事管理】テレワークの課題と職場意識改善助成金
前回は、厚生労働省が策定した「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」を紹介しました。今回は、導入課題に触れたいと思います。
1.テレワーク導入の課題
テレワークの導入を検討している事業所から相談を受けることがあります。その中でも労働時間管理をどのようにしたら良いのかというご相談が多いように思います。
厚生労働省が行った「テレワークに対する懸念・課題」というアンケート調査でも、実施をしていないうちの7割を超える企業が「勤怠管理」に課題に感じており、続いて「情報セキュリティー」、「スケジュール管理」を挙げています。
グラフは平成27年度テレワークモデル実証事業 好事例集より抜粋
テレワークを行う場合であっても、社員には労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法等の労働基準関連法が適用されます。ですから、導入に当たっては、労働時間についてもきちんとルールを決めて、テレワーク規程やテレワークポリーシーに定めておく必要があります。また、会社の外で勤務をする特性から、情報危機管理規程等も定めておく必要があります。
2.テレワーク規程について
(1)目的と位置づけ
一般的にテレワーク規程は、就業規則の一部になりますので、位置づけを整理する必要があります。また、テレワークの目的を記載しておくことも大切な項目の一つです。目的については、ぞれぞれの会社によって異なりますから、制度導入時に目的を明確にした上で、記載することが重要です。例えば、「従業員の就業意欲および創造力発揮と会社の効率的な労働環境の実現を目的とする。」というようなものになります。
(2)労働時間管理
テレワーク勤務時においても原則通常勤務と同じ時間とする場合であれば、テレワーク規程の労働時間の記載は、就業規則の労働時間の該当条文を引用することになります。
この場合は、労働時間を把握できることが前提になりますから、労働時間の管理は、始業と終業の際にメールや勤怠管理ツールを使って会社に連絡を入れてもらうことになります。
一方で、テレワーク勤務時については、事業場外のみなし労働時制を適用する例もあり、その場合は、「終日テレワーク勤務を行った場合で就業規則第○条○項の事業場外みなし労働時間制の規定に該当する場合は、所属事業所の所定労働時間を勤務したものとみなす。」というような記載になります。
この場合は、終業時に1日の報告または、1週間分をまとめた報告書の提出をさせる方法があります。
労働時間の考え方については、「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」でも示されていますので、厚労省のページで確認ください。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/3002221.pdf
3.職場意識改善助成金
労働時間等の設定の改善によって、所定外労働時間の削減や年次有給休暇の取得促進等を図る中小企業事業主に対して、その実施に要した費用の一部を助成する「職場意識改善助成金」があります。
テレワーク用通信機器の導入・更新の費用は、この助成金の支給対象の一つになっていますので、制度導入に当たって通信機器等の費用が発生する場合は、助成金を使いながら環境を整えられる可能性があります。
【コンサルタントプロフィール】
DATE : 2018/04/16