【労働時間管理】60時間超の法定割増賃金率(中小企業)
1か月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率については、50%以上の割増支払いが必要となっていますが、現時点では中小企業(*注1)には猶予措置があって、割増賃金率は25%以上を支払えばよいことになっています。
本国会に提出されている「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」では、月60時間を超える時間外労働の割増率50%以上の中小企業に対する猶予措置(以下、割増率猶予措置といいます。)が廃止され、平成35年4月1日からは、月60時間を超える時間外労働には大企業と同様に割増率を50%で支払うことが盛り込まれています。
この割増率猶予措置廃止の施行期日は、平成35年ですから約5年間の準備期間があります。また、労使協定をした上で1か月60時間を超える法定時間外労働を行った社員の健康を確保するため、引き上げ分の割増賃金の代わりに有給の休暇(代替休暇)を付与する方法をとることもできます。
しかし、労働時間はいろいろな施策の積み重ねで削減がされるもの。そしてそもそも働き方改革関連法案では、時間外労働時間数の上限時間が労働基準法に規定される改正も含まれる等、長時間労働の是正とともに、これまで以上に社員の健康への配慮が求められる方向性にあるのはご存知のとおりです。
労働生産性のアップと健康でよい結果を生み出すことと、また引き上げられると思われる割増率の対象になる時間外労働を削減するという観点から、労働時間の適正化を目指して労務管理を考えていくことが必要であると思っています。
(注1)現在の割増率猶予措置が対象になっている中小企業
・中小企業に該当するかどうかは「資本金の額または出資の総額」と「常時使用する労働者の数」で判断されます。
・事業場単位ではなく、「企業単位」で判断されます。
このコラムは、平成30年6月16日現在の情報に基づいて掲載ました。内容が変更になる場合がありますので、今後の動きにご注意ください。
平成22年4月1日から大企業に適用されている法定割増賃金率の引上げ等の概要は次のリーフレットで確認できます。
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/091214-1.pdf
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DATE : 2018/06/19