【人事管理】地域別最低賃金とパート有期法
1.最低賃金の動向
平成30年度の地域別最低賃金額の都道府県別最低賃金が10月からアップしています。
改定金額を下回る場合は、直ちに改定が必要ですから、確認をお願いします。
平成30年度各都道府県の最低賃金時間額は、厚生労働省の資料で確認できます。
URLはこちらです。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/
改定結果のポイント
47都道府県の全てでアップしており、東京都であれば27円の上昇で985円になっています。この改定は、政府が「未来投資戦略2018」や「経済財政運営と改革の基本方針」などで、全国加重平均1,000円を目指して引き上げてきた中で、最高の引き上げ額となりました。
2.パート有期法改正との関連
2020年4月(中小企業は2021年4月)に施行される「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(以下、パートタイム・有期雇用労働法といいます。)では、短時間労働者と期間の定めのある雇用契約社員について、正社員と比較して不合理な待遇差をすることを禁止しています。
改正法では、基本給についても不合理な待遇差を禁止していますから、正社員と比較して待遇差があるならば、最低賃金を満たすことに加えて、格差を是正する準備をしていかなければなりません。
パートタイム・有期雇用労働法 第8条(不合理な待遇の禁止)は次のような定めになります。
「事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下、「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。」
少し具体的に考えていきましょう。
2016年12月20日に出されている「同一労働同一賃金ガイドライン案」を見てみると、列挙されている個別事例の中に基本給があります。基本給を経験や能力で評価して決定している会社の例で考えます。
正社員とパート及び有期雇用契約社員との比較について、ガイドライン案の基本給の①に次の記載があります。
「基本給について、労働者の職業経験・能力に応じて支給しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の職業経験・能力を蓄積している有期雇用労働者又はパートタイム労働者には、職業経験・能力に応じた部分につき同一の支給をしなければならない。また蓄積している職業経験・能力に一定の違いがある場合においては、その相違に応じた支給をしなければならない。」と書かれています。
このガイドライン案から考えられるひとつの対応としては、基本給の決定を職業経験・能力で評価し決定をするならば、正社員とパート及び有期雇用契約社員を一体とした評価基準に位置付けて合理的な決定をすることです。
そして、職務の内容と人材の活用において正社員とパート及び有期雇用契約社員の間で相違がないのであれば、賃金表は同じもので運用できます。パートと有期雇用契約社員を積極的に活用している会社では、こうした取り組みが進んでいるようです。
一方で、職務内容と人材の活用およびその他の事情で相違があって賃金表を別々に設ける場合は、賃金表の違いを合理的に説明できるようにしなければならないと考えます。
「同一労働同一賃金ガイドライン案」は厚労省の下記のページでご欄いただけます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000190591.html
厚生労働省は働き方改革関連についてホームページを随時更新していますので参照してください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322_00001.html
【コンサルタントプロフィール】
DATE : 2018/10/24