【人事管理】毎勤統計による給付金追加払い
厚生労働省が行っている毎月勤労統計調査において、不適切な処理があったために、雇用保険関係の給付金等に給付支不足があることが判明しています。このことは、皆様も報道等でご存知と思います。
同調査は、大企業の全数を調査するとしていたところを一部抽出調査で行っていたこと等により、同調査における賃金額が低めに出ていたとされています。これにより、賃金上昇率によるスライド加算が多くなったり、給付上限額が引き上げられたりすることによって、本来はもう少し多く給付をするべきであったケースが生じてくるようです。
1. 事業主が追加給付を受け取れるケース(雇用保険関係)
この対象となり得る雇用保険の給付で、事業主が追加で受け取る給付には、雇用調整助成金があります。厚労省の発表によると、2004年8月から2011年7月までの間、及び2014年8月以降に、休業、教育訓練又は出向の初日を設けて雇用調整助成金を受給した事業主が対象になる可能性があるとのことです。
給付不足がある事業所の所在地データが残っている事業主には、順次連絡があるようですが、申請当時の書類が必要になるケースがあるため、書類を廃棄しないように呼びかけています。
2. 個人が追加給付を受け取れるケース
一方で、被保険者等の個人に対して、給付金が追加で発生する可能性があるのは以下の給付です。
≪対象となり得る給付≫
雇用保険関係
・基本手当、高年齢求職者給付金、特例一時金
・個別延長給付、訓練延長給付、広域延長給付、地域延長給付
・傷病手当(雇用保険法によるものに限る)
・就業手当、再就職手当、常用就職支度手当、就業促進定着手当
・教育訓練支援給付金
・高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付
・失業者の退職手当(国家公務員退職手当法)
・就職促進手当(労働施策総合推進法)
労災保険関係
・傷病(補償)年金 ・障害(補償)年金
・遺族(補償)年金 ・休業(補償)給付
・傷病特別年金 ・障害特別年金
・遺族特別年金 ・遺族特別一時金
・休業特別支給金
等です。
例えば雇用保険の給付を現在受給中の方には、説明したのちに過去の不足分を給付するようです。受給が終了している方には、ご自宅へ関係書類を郵送して追加払いをするようです。もし、自宅等の連絡先が変更になっている場合は、住民基本台帳の住所情報等を活用して追跡調査を行うとしています。
育児休業給付等は、事業主を経由してハローワークへ給付申請を行うことが通常です。しかし、過去の育児休業給付の追加給付が発生した場合は、8月頃から受給したご本人の自宅へ関連の通知が郵送されるようです。よって、今回の追加支給に関して事業主が行う手続きはありませんが、従業員から問い合わせを受けることも想定されますので、以上のことをご承知おきください。
3.個人が追加支給の対象かどうかを知る方法
雇用保険の給付を受給していた個人のうち、追加支給がない方には、連絡が届かないようです。気になる方は、3月を目途に公開を検討しているという「自分の受給当時の賃金日額や受給日数、給付内容を入力すれば、追加給付の対象となるかどうか等がわかるツール」で確認することができるようです。
厚生労働省は、質問の多い項目をQ&Aでホームページに公開していますので参考にしてください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03463.html#Q&A
【コンサルタントプロフィール】
DATE : 2019/03/08